ポジメッセージ[19]‐8人全員の魂が同じ気持ちで‐綱引きのオリンピック復活を目指す高橋喜良さん

November 21st, 2008

綱引きはとにかく一回見ればファンになる。今月9日に、子供が出場した綱引き大会を見てそう思った。引っ張っているみんなの力が一つになったときの動きは、まるでドミノ倒しのようでもある。

80年以上前までオリンピックの正式競技種目だった綱引きを何とか復活させようとしている高橋善良さんは、こう言っている。

「個人が強くても、8人全員の魂が同じ気持ちで綱に伝わらないと力が出ない。究極の団体競技や」

本当にそうだ。力持ちが集まっていて強そうに見えるチームでも、一体感を持っているチームにかなわないことがある。その一体感の源は何だろうか。一つは「掛け声」かな。

出典:朝日新聞11月21日付、「ひと」綱引きの五輪復活をめざす 高橋喜良さん

ポジメッセージ[18]‐ただ知りませんでは終わらせない‐生協の白石さん

November 20th, 2008

本当はわからないのに、まるですべてわかっているように言う。最近はそういう風に思えてしまう本が、特に脳の研究の分野などにけっこうあるような気がする。わからないときは正直にそれを認めて、変化球を投げたほうがいいと思う。

生協の白石さんはまず第一に誠実だ。でもそれだけでは終わらない。次のやりとりを見ていただきたい。

ある農工大生が次のような質問をした。

どうすれば、
人間は空中で、
ジャンプできる
のですか?
白石さん。
二段ジャンプのことです。

白石さんはこう答えている。

……

当方としてできる事があるとすれば、毎週「少年ジャンプ」を読む子が思春期を経て、「ヤングジャンプ」も読み始める一現象を、人間の成長過程になぞらえ「二段ジャンプ」であると勝手ながらに解釈し、二冊とも毎週品揃えする事のみです。組合員証提示で10%OFFです。

今でも「少年ジャンプ」置いてあるのかな。

出典:生協の白石さん、白石昌則 東京農工大学の学生の皆さん、講談社


生協の白石さん

白石 昌則. 講談社 2005, 単行本, 149ページ, ¥ 1,000

ポジメッセージ[17]‐まさにそのひと言が人をいい気分にさせる‐パンクのお兄さん

November 19th, 2008

家内から『イギリス式お金をかけず楽しく生きる!』を貸してもらった。子供が読み聞かせをしてもらっているときに書斎から盗み聞きをし、「そうだそうだ」と共鳴したのである。

離婚して渡英した著者が、まだ子供に古着しか買ってやれない頃の話を紹介したいと思う。

古着屋の店番をしていたのは、蛇の入れ墨あり、ピアスありのスキンヘッドのお兄さんだった。木綿の紫色のワンピースを三ポンドで買うと、彼はこんな風に言ってくれた。

「よかったね!ママは君のためにこんなすてきなドレスを見つけてくれたんだよ。これを着たら君はきっとすてきな女の子になれるよ!」

商売といえど、シンプルにこういうことを言えるのは素敵だ。パンクのお兄さん、なかなかやるじゃないの。

出典:イギリス式お金をかけず楽しく生きる!、井形慶子、講談社


イギリス式お金をかけず楽しく生きる (+α文庫)

井形 慶子. 講談社 2006, 文庫, 205ページ, ¥ 600

ポジメッセージ[16]‐尊敬する人は周りの人みんな‐東大生の横山沙織さん

November 18th, 2008

太田あやさんの『東大合格生のノートはかならず美しい』は、それ自体が大学ノートの雰囲気を出せるように作られている。

東大生が実行している「いいノート」の法則が次のように7つにまとめられている。

とにかく文頭は揃える
写す必要がなければコピー
大胆に余白をとる
インデックスを活用
ノートは区切りが肝心
オリジナルのフォーマットを持つ
当然丁寧に書いている

注:頭文字を続けて読んでみると面白い。

この中で特に、「大胆に余白をとる」にぐっと来た。いつもノートにメモしているときに実は余白のとり方が気になっていた。余白のとり方をけちると後で損をするのである。将来のための蓄えのようなものだ。

登場している東大生にほぼ共通しているのは、何と言っても、丁寧さと粘り強さである。この2つがあってこそ、板書とノートが後から生きてくるのだろう。

あともう一つ嬉しくなったのは、文学部行動文化学科4年の横山沙織さんのメッセージである。

「Q&A」のQ6にこう答えているのである。

Q6 尊敬する人
周りにいる人みんな

私もこういう気持ちになろうと思う。

出典:東大合格生のノートはかならず美しい、太田あや、文藝春秋


東大合格生のノートはかならず美しい

太田 あや. 文藝春秋 2008, 単行本, 111ページ, ¥ 1,000

ポジメッセージ[15]‐いいものは必ず美しい‐フリーライターの太田あやさん

November 17th, 2008

今度是非『東大合格生のノートはかならず美しい』を読んでみたいと思っていた。その著者である太田あやさんのメッセージが今日の朝日新聞の「朝日求人」に載っている。早速紹介する。

「周囲から笑われたり、心配されたりもしましたけれど200冊を超えるノートは私を引きつけました。ここにあるテクニックを砕いて、受験生の誰もが使えるようにできるまで何でもしなくてはと。お告げを伝えるイタコの心境ですね(笑い)」

誰にとっても「お告げ」のようなものはあると思う。その次の一歩を踏み出すには、太田あやさんが上で言っている「誰もが使えるように…」もやはり一つの鍵になりそうだ。

しかしそれにしても200冊のノートというのは文句なくすごい。

これから書店が開いたら早速『東大合格生のノートはかならず美しい』を買いに行こうと思う。

出典:朝日新聞2008年11月17日付、朝日求人、「あの人とこんな話」

ポジメッセージ[14]‐追い込まれたらしめたもの‐伝説的シェフの三國清三さん

November 16th, 2008

追い込まれると、ふだんかかない汗が出る。冷や汗ともまたちがう。三國清三さんのメッセージを読み、そういうときは、「しめた」と思うべきだとあらためて考えた。次のメッセージである。

それぞれのオーナーは、サティフィカという直筆の推薦状を書いてくれました。それを持って僕はまた有名なレストランへ行き、使って欲しいと頼むのです。先方は会ってはくれる。そしていきなりシェフのポジションを与え、すぐさまオーダーをこなさせるんですね。その場で完璧にできなければ後はない。まるで武士の他流試合のようです。それを一カ月こなして初めて給料が出る。その間、海辺の岩場で野宿までして通い抜いたものです。

人を本気にさせるすばらしい仕組みだ。本気は実は自分の中にいつもあるのだけど、奥にしまいこまれている。いわば門外不出なのである。

ところで、「海辺の岩場で野宿」しているときは、どんな素材をゲットして料理していたのだろう。その話も是非聞いてみたい。

出典:朝日新聞2008年11月16日付、朝日求人、仕事力「渾身の準備で『次』をつかもう」

ポジメッセージ[13]‐金融は常に生産的であるべきだ‐戦う金融マン栃迫篤昌さん

November 15th, 2008

一般のシステムの外にあって真の意味で機能している金融システム。MFIC社長の栃迫篤昌さんは、そういうシステムを運営している。まじめに働く移民の人たちにとってなくてはならない存在になっているようだ。

次のメッセージを紹介する。

‐バンカーの職をなげうってまで起業した理由は?
 ワシントンの所長時代、移民送金や小額金融をテーマにした国際会議にずいぶん出席しました。頭のいい人たちは机の前で何時間も議論して、結論まで出すのに実行しない。前例がないことはしないのです。誰も思いつかなかった方法でも、考えるだけではだめで、実際にやってみせ、広げていくことがプロの仕事だと思ったんです。

栃迫さんはこういう人でもある。

‐最初からスペイン語は上手だったんですか。
 留学当初は全くダメ。入学式では歌を歌いました。味をしめて学生仲間でバンドを組み、ボーカルになった。パーティーなんかで歌うと、演奏後に女性が集まってきてあれこれ言うんですが、全くわからない。後で友だちに聞くと、「おまえ、口説かれていたよ」って。

こういうの好きだな。栃迫さんは今でもかっこいい!

出典:朝日新聞2008年11月15日付、be on Saturday、出稼ぎ移民を支える金融を創設

ポジメッセージ[12]‐こういう自信もときには必要だ‐寿司屋の親方の言い分

November 14th, 2008

ここまでいくと、自信というものも捨てたものではないなと思わせるメッセージを見つけた。ちょっと長くなるが、こうである。

「じゃ、どこが気に入らないんですか、形が悪いんでしょうか」
「形は、まあまあ、いい」
「じゃ、バランスがよくないんですか」
「バランスも、まあ、とれている」
「じゃ、口の中に入れたときに、角がさわるとか、抵抗があるとか、なじみが悪いとか、そういうことなんですか」
「それも、まあまあだ」
「じゃ、いったいどこがぐあい悪くて気に入らないんですか」
 と聞いたところ、まあ、ちょっと間がありましたけれども、親方がズバッと言った言葉が、
「俺がやったんじゃないから」と。

ひと言でいうと、いい方のグワーンである。

ところで『神田鶴八鮨ばなし』は、一流店に行かなくても一流店に行った気分をちょっぴり味わえる本である。カウンター越しに話をしてもらっている雰囲気もちゃんとある。

出典:神田鶴八鮨ばなし、師岡幸夫、新潮文庫


神田鶴八鮨ばなし (新潮文庫)

師岡 幸夫. 新潮社 2003, 文庫, 421ページ, ¥ 740

ポジメッセージ[11]‐今やってみればうまくいくかもしれない‐メディアコンサルタントの岡本一郎

November 13th, 2008

岡本一郎の『グーグルに勝つ広告モデル』は、たしかにamazon書評でも指摘されているように、タイトルにそぐわない面もある。けれども、多くの本をよく読んでみると、タイトルとの関連性は意外と小さいことに気づく。タイトルはもともと手にとってもらうためのものである。『バカの壁』はその典型だろう。

本書は、メディアというものをきっかけにして自分の考えをいろいろとシミュレートするには役立つと思う。

次の部分などはどうだろうか。

 ましてや、今はムーアの法則(半導体の集積度が18カ月で倍になるという経験側)が働く世の中です。数年前にやったけどうまくいかなかった、ということが、現在やってみてうまくいかないことの理由にまったくならない、という点を肝に銘じておくべきでしょう。

うまいところにムーアの法則を引っぱってきたものである。

出典:グーグルに勝つ広告モデル、岡本一郎、光文社新書


グーグルに勝つ広告モデル (光文社新書 349)

岡本一郎. 光文社 2008, 新書, 208ページ, ¥ 756

ポジメッセージ[10]‐「緩さ」「貧しさ」を肯定的に見る‐作家の保坂和志

November 12th, 2008

たとえ今貧しくても、それは次のステップへの輪の一つであり、そのまま終わるものではない。今月は小遣いが徹底的に不足している。これはたぶん力を蓄えろというメッセージなのである。そういう力は身のまわりの宇宙にいくらでもある。

保坂和志の次のメッセージを新聞で読み、どっしり構えて「ポジティブ」ということについて複合的に考えている人だなと思った。

「社会的にネガティブとされる緩さや貧しさや小ささを自覚することが、実は強さになる。かつては小説に新しいものが書けるという進歩史観があったが、今も新しさがあると思うのは状況に対する勘違い。希望があることは、人をゆっくりと考えさせない。静かにすわって考える”たそがれ”から文化が始まる。否定的なようで実は小説の出番だと思っているんです」

「たそがれ」は好きである。うすいオレンジ色は、母に手をひかれていっしょに行った買い物に結びついている。「たそがれ」とか、部屋の明かりに照らし出された窓を見ていると、ほんわかした気持ちになる。

出典:朝日新聞2008年11月12日付、文化、「緩さ」「貧しさ」肯定的に評価