[amtap book:isbn=4122042518]

このサブタイトルは決して私がこの作家をこけにしてつけたのではない。開高健はわが心の師匠の一人である。

そうではなく、一時モンスターペアレントの言い分として話題になったことがある「いただきます」の意味をあらためて実感したのだ。

開高ファンであれば、この「小説家のメニュー」というタイトルを見れば何かすぐにピーンと来たはずだ。初版本を見てみると、もう出てから20年近くたっている。それでもそのピーンは色あせてない。美味いとか薀蓄とかそんなことだけを期待しちゃだめなんだこの本には。私が今朝読み返して考えたところはここ。

ゼンマイやワラビは、ちょっと湧き水のある沢の急坂にできるのだが、そういうところにさしかけ小屋をまず造って、夫婦でそこへ寝泊りする。だいたい亭主が山を歩いて採ってくる。女房の方は大釜で湯をぐらぐら沸かして、そこへ山菜を放りこみ、ムシロの上にサッとひろげて乾燥させるわけである。それが一週間か十日あるかないかという間のことで、それを里に持って帰って売る。そういえば簡単に聞こえるかもしれないが、重労働も重労働、難行苦行なのだ。わたしなんかがイワナ釣りをしているすぐ傍らで働いているのを見ると、とても見てられないくらい厳しい仕事なのである。

この後に、さらにえっと思ってしまうことが書いてあるのだが、それは買って見てのお楽しみである。

出典:小説家のメニュー、開高健、中央公論新社

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